第8章 嫌悪

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 その手は躊躇いもなく信之助を打つ姿勢を保っていた。  そんな漢助に、圧倒されて腰を抜かす信之助。  辞めてくれと何度も何度も漢助に言う。  でも、漢助は一瞬も信之助から目を逸らさない。  本気で打つ気だ。 「かん…すけ……」 「!」  十汰は漢助の腕を掴んだ。そして、駄目だとか弱い声で告げる。  漢助を犯罪者にしたくない。  さきえに告げた復讐を、漢助の手でしてほしくはない。  漢助が復讐は悲劇を生むだけだと言ったのだ。だから、そんな事絶対にさせない。 「漢助……」 「十汰……」  自分は大丈夫。もう、怖いものなんて何も無い。そう、目で訴えた。 「くそったれ……」  漢助は弱った十汰を見詰め、奥歯を噛んだ。やりきれない気持ちに漢助は葛藤しているようで、そんな漢助に十汰は笑みを向けるのだった。  そして、漢助は銃口を下に向けた。 「二人とも大丈夫かい!?」  そんな十汰と漢助の前に誠が現れた。  その後ろには竜平と絢の姿もあり、頑丈に施錠されたそれを竜平が開けてくれたようだった。  そして、外からはパトカーのサイレンの音が何台も次から次へと聞こえて来た。 「おせーよ……」     
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