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「何よその言い方! こっちだって上司に説明するの大変だったのよ! なかなか信じて貰えなかったし、聞いてくれるまで大変だったんだから!」
「だろうな。だから、誠も一緒に向かわせたんだろーが」
「うっ……」
警察官が関与した事件に、上司もどう判断するか悩んだのだろう。そうなる事は漢助には想定内だったようだ。
「まぁ、僕の言葉で納得させたけどね。相手は真っ青になってたけど」
そう言って、ニコッと笑う誠。その納得させた内容を聞くのが怖い。
「なんて言って説得したんだかな。本当、怖い男だよ……」
漢助はそう言うと、誠に小さく〝助かった〟と告げた。
「白石先輩……」
「あんた、よくも他織を使って私を拉致させたわねっ! このスーツすっごく高かったんだから!」
そう言って、絢は腰を抜かす信之助の襟首を掴んで、左右に振った。
余程高いスーツだったようだ。確かに、傷や埃が付着していた。
「だから、ボロボロの物着とけって言ったろ……」
「いーやーよ。私はスーツはちゃんとしたのを常に着ていたいの!」
「あー、そうかよ」
漢助は呆れながらそう言うと、元気そうでよかったと絢に告げる。その言葉に絢は笑う。
「誰に向かって言ってんのよ。私は上に立つ女よ。こんな事で泣いてなんていられないわ」
そう言って、信之助に手錠を掛ける絢。
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