第8章 嫌悪

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 絢が漢助の横を通り過ぎようとした時、漢助が持っていた拳銃を絢に渡した。 「玉は三発。窓に二発。あとナイフに一発」  そう言って打った弾丸の数と場所を教える。それを聞き、この拳銃が絢の物だと初めて知った。 「了解。口裏合わせとくわ」 「よろしく」  そう言ってまた歩き出した絢だったが、急に立ち止まり振り向いた。 「あっ、今度なんか奢ってよね。巻き添え食らったんだから、それくらいして貰わないと」 「分かってるよ。そのうちな」 「期待しとくわ。って、ほら、ちゃんと歩いてっ」  絢は脱力している信之助を叱咤し、また再び歩き出した。そして、外にいる警察官にその身柄を預け、自分も同じ車に乗り込んだ。 「んっ……」  ようやく全て終わった。なのに、十汰だけはまだ終わってはいなかった。  安堵したのが返って良くなかったらしい。  身体が突然、グワっと血流が上がってくるように燃えるように熱くなった。  そして、ビチャビチャに下肢のそこがドッと濡れた。 「うっ……」 「十汰?」 「ハァ……ハァ……アッ……」  どうしよう。漢助のスラックスを濡らしてしまった。  十汰は利き手を伸ばし、熱く滾るそこに手を伸ばし、自分の手で手扱きし始めた。  そんな十汰を驚いた顔で見詰める漢助。それと、側にいた誠と竜平。 「っ……アッ……ハァンッ……ぁ」  竜平は十汰のその憂いを帯びる表情に顔を赤面していた。  でも、見られていると分かっているのに手は止まらない。 「あの野郎、何か飲ませやがったな……」 「これじゃない? カプセルの殻が落ちてる……」  竜平は薄暗い部屋の中、小さなそれを見付け出し、漢助に見せて来た。それを誠が横から取る。 「ちょっと見せて。それ……違法ドラッグだ」 「なっ!」  それを聞き、顔を真っ青にする漢助。
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