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絢が漢助の横を通り過ぎようとした時、漢助が持っていた拳銃を絢に渡した。
「玉は三発。窓に二発。あとナイフに一発」
そう言って打った弾丸の数と場所を教える。それを聞き、この拳銃が絢の物だと初めて知った。
「了解。口裏合わせとくわ」
「よろしく」
そう言ってまた歩き出した絢だったが、急に立ち止まり振り向いた。
「あっ、今度なんか奢ってよね。巻き添え食らったんだから、それくらいして貰わないと」
「分かってるよ。そのうちな」
「期待しとくわ。って、ほら、ちゃんと歩いてっ」
絢は脱力している信之助を叱咤し、また再び歩き出した。そして、外にいる警察官にその身柄を預け、自分も同じ車に乗り込んだ。
「んっ……」
ようやく全て終わった。なのに、十汰だけはまだ終わってはいなかった。
安堵したのが返って良くなかったらしい。
身体が突然、グワっと血流が上がってくるように燃えるように熱くなった。
そして、ビチャビチャに下肢のそこがドッと濡れた。
「うっ……」
「十汰?」
「ハァ……ハァ……アッ……」
どうしよう。漢助のスラックスを濡らしてしまった。
十汰は利き手を伸ばし、熱く滾るそこに手を伸ばし、自分の手で手扱きし始めた。
そんな十汰を驚いた顔で見詰める漢助。それと、側にいた誠と竜平。
「っ……アッ……ハァンッ……ぁ」
竜平は十汰のその憂いを帯びる表情に顔を赤面していた。
でも、見られていると分かっているのに手は止まらない。
「あの野郎、何か飲ませやがったな……」
「これじゃない? カプセルの殻が落ちてる……」
竜平は薄暗い部屋の中、小さなそれを見付け出し、漢助に見せて来た。それを誠が横から取る。
「ちょっと見せて。それ……違法ドラッグだ」
「なっ!」
それを聞き、顔を真っ青にする漢助。
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