第8章 嫌悪

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 まさかそんな物を飲まされていたとは思ってもいなかったようだ。 「この間、それを飲まされて廻された女性の案件を頼まれたんだ。その時の殻と同じだ……」  誠はその薬を知っているらしく、効能を説明し出した。 「これは即効性のある媚薬。それも強力なね」 「いつ治り出す?」 「これは一日中効き目があって、一人相手では相手しきれないくらいの性欲が湧き上がってしまう物なんだよ。それくらい強い物なんだ……」  そう言って、誠は渋い顔を十汰に見せた。そして、可哀想にと呟く。 「くそが。あの野郎、マジで打っとけばよかった」 「ヤアッ!」  漢助は誠のその話しを聞き、無我夢中で手を動かす十汰の手を掴み、止めた。 「よくトオタ君我慢してたね。普通なら意識飛んで誰でも良くなって目の前の相手に跨ってるはずだよ……」 「ハッ。こいつは出会ってからずっと俺しか見えてないんだよ……」 「なら、早く抱いてあげたら? いつまでもトオタ君を不安にさせるのも良くないよ」 「っ……」 「漢助が思ってるよりも、この子は人目を惹きつける。恐ろしいくらいにね……」  その言葉に、コクッと頷く竜平。そして、熱い眼差しで漢助に抱き締められている十汰を見詰めた。 「……すけ」  十汰は頭の中がおかしくなりそうなくらい、漢助しか無かった。  早く、早く早く。漢助が欲しい。 「あーっ、くそガァーーーーー!」  漢助は十汰をシャツで巻いて肌を隠すと、ガバッと抱き抱え、そのまま誠や竜平を置き去りに走り出す。
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