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漢助はそんな十汰の心理を知ってか、左の肩を掴み、四つん這いから仰向けに返したのだった。
その瞬間、漢助の雄の目と視線が重なり、十汰はごくっと唾を飲んだ。
「ンッ……あぅ……チュッ…ん…ちゅ……」
そして、漢助は十汰の両頬を掴むと強引に上に向けさせ、舌を伸ばし十汰の口内を貪った。
十汰も頑張って舌を出すが、舌が漢助の物よりも小ぶりすぎて何度頑張っても怯んだしまい、負けてしまう。
「下手くそ……」
「うー……」
その言葉に、ぷくっと頬を膨らませる十汰。そんな十汰に漢助は愛おしそうな顔を向けてくれる。
「怖いか?」
そして、そう優しく労りの言葉を十汰に言ってくれるのだった。
漢助は十汰の気持ちを一番理解してくれている。初めてのセ◯クスがこんな形になって、恐怖心を抱かせたくない。そう、思ってくれているようだった。
そんな漢助に、十汰は笑ってしまう。
「ねぇ…漢助……。漢助は……俺の事好き?」
その言葉だけ、ちゃんと聞きたい。
漢助の口から、目を見詰められながら、真っすぐに想いを告げられたい。
十汰は泣きながらそう漢助に告げた。
「白石さんより……誠一さんより……俺が好き?」
「十汰……」
漢助は最初驚いていた。
そして、策略だとしても絢との関係を怪しむようにして十汰を不安にさせた事に、少しだけ後悔しているような顔を向ける。
「確かに、絢とは付き合ってた。誠一の事も愛してた……でも……」
漢助は不安げに見詰める十汰の目をただジッと見詰め、真摯な顔で教えてくれる。
その言葉を、ずっと十汰は待っていた。
「今はお前以外いらないってくらい……好きだ」
漢助はそう言うと、十汰の汗ばむ手を強く握る。
「手放したくない。手放せないほど……愛してる」
「漢助……っ」
最高の殺し文句。
もう、涙以外出てこない。
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