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第10章 女心
それから暫くして夏休みが終わり、授業が始まった。
授業が始まると、掲示板にゼミの教授からのお知らせが貼ってあり、それに出ると、教授が皆の前で詫びた。
それは、教授を偽って信之助が十汰を外出させる為にデマの連絡を生徒達に流した件についてだった。
教授はそんな話し事務室にはしていなかったのに、何故かそんな連絡が回ってしまったと言い、申し訳ない顔をして謝っていた。
そんな教授を見て、十汰は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。でも、論文の採点の付け方が前よりも甘くなり、少しだけ喜びを感じてしまう。
なんて現金な性格なのだろう。
「おーい。十汰君」
授業が終わり、一人帰っていたら、事務所があるビルの近くで急に名前を呼ばれた。
絢だった。
「白石さん、こんにちは」
十汰は絢に駆け寄り笑みを向け、そんな十汰に絢もニコッと笑ってくれた。
「こんにちは。あれからどう? 何か恐怖心とか精神的な部分で悩んだりしてない?」
「はい。大丈夫です。犯人が見つかってホッとしたのか、前よりも寝付きが良くて毎日寝坊です」
「あははっ。それは良かったね」
絢は十汰のその話しに安堵した顔を見せ、笑ってくれた。
十汰は漢助に用事かと思い、事務所に行こうと言うと、絢が用事があるのは漢助ではなく十汰にだと言ったので、なんだろうっと小首を傾げ、話しを聞いた。
「私と漢助が付き合ってた事はもう知ってるよね」
「あ、はい……」
「水沼がベラベラ話してたやつ後から聞いてさ、その中で一つだけ間違いがあったからそれを君に言っておきたくて……」
「間違い?」
絢はそう言うと、切なく笑い、話し出す。
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