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漢助はそんな十汰に向き合い、そして、ガバッと覆い被さって来た。
そして、目を泳がせながら恥ずかしそうに言う。
「あ、あの時はな……まだ未成年のお前を縛るのは良くないって思ってたんだ。でも、でもな……えっと……俺もお前が好きだったから……その……つまりは……」
漢助はどうしたらいいのか分からず、クソッと言って固まっていた。
「俺を手放したくなかった? だから、あの時かすみ草に自分の言葉を込めたの……? 雪音さんみたいに?」
その言葉に、漢助は無言でこくっと頷いた。
「花なんて買ったの……初めてだ……」
そう言って、恥ずかしそうに十汰を見詰める漢助。
「漢助……」
こんなにも可愛い漢助を初めて見た十汰は、両腕を伸ばし、ギュッと漢助の首に巻き付いた。そして、溢れる気持ちを言葉にする。
「ありがとう……」
その言葉以外、十汰は見付からなかった。
漢助はその言葉に驚いた顔をして、次に嬉しそうな表情を向けてくれた。
ハザードランプがチカチカと外を照らす中、十汰と漢助は熱い抱擁と濃いキスを何度も繰り返し、お互いの存在を確かめ合い、そして、二人の帰る場所---伊達坂漢助探偵事務所へと帰ったのだった。
end.
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