第2章 依頼

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 十汰は無言でさきえを見詰める漢助を見て、早く何か言ってあげなよ、そう思った。  でも、漢助はこれが探偵の入ってする事なのかと返答に迷っているようだった。  確かに、警察がもうその事故を自殺と判断したのなら、それをひっくり返す事は難しいかもしれない。  でも、それが真実かは分からない。  何か理由があって、そうなったのかもしれない。 「漢助……」  雪音が最後に握っていた一枚の写真。それが、漢助に助けを求めている。十時にはそう思えてならなかった。 「伊達坂さん……」  さきえは漢助の悩む姿に、少しだけ諦め掛けているようだった。  さきえ自身、自分が言っている事が無駄な事だと承知しているようだ。  でも、誠に教えられた探偵に、真実を知る手助けをして欲しい。そう、願ってしまう気持ちが薄れる事はない。  そんなさきえを見て、どうにかしてやりたいと思ってしまう十汰。  でも、どうしたら……。 (あっ!)  十汰はさきえの手土産を思い出し、慌てて冷蔵庫へと走った。そして、冷凍庫をガラガラっと開け、手土産の箱を取り出すとパカっと開けた。 「やっぱり、さすが先生」  その中身を見て、十汰は誠の頭の回転の速さと、漢助を熟知してる誠だからこそ選ぶそれに、感謝の気持ちでいっぱいになった。
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