第3章 開始

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 それは、漢助が煙草を吸いたくなったらする行動で、やっぱり絢を見て動揺しているのが十汰にだけは分かった。 「で、警部がなんでここに?」 「え? あ、ちょっと用事がね……。水沼(みずぬま)君、花買って来た?」 「買って来ましたよー。はい、これ」  スーツ姿の男は、絢に黄色をメインとした花束を渡し、ふーっと汗を拭った。 「なんでこんなにかすみ草多いの? ケチったの?」  でも、絢が思っていた通りの花束ではなかったらしく、買って来たその男を鋭い目付きで睨め付けた。 「ええ! ケチってないですよー。ただ、お任せで作って貰ったらそうなったんですぅー」 「あ、そう……」  そう言われ、絢は電信柱にその花束を置いた。そして、両手を合わせる。  それを見て、さきえが絢に駆け寄る。 「雪音の友人ですか?」 「はい。雪音さんは中学の時の後輩でした」 「そ、そうだったんですか……」  絢が雪音の先輩だと知り、さきえは絢に深く頭を下げる。そして、何度も礼の言葉を告げていたのだった。 「雪音さんがここで亡くなったと聞いて……現場が近かったので、寄らせて貰いました」 「それはわざわざ……ありがとうございます」  さきえは涙を流し喜んでいた。  雪音の為にわざわざ花を買ってお供えしてくれた人と会い、嬉しかったようだ。
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