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でも、その姿が可愛かったらしく、男が漢助の背中に隠れる十汰に近付いて来る。
「あまり俺の連れを可愛がるのはよしてくれないか?」
でもそれを、漢助が自身の身体で守ってくれた。
「え? あ、すんませーん。俺、気に入った物ってすごく愛でたくなるんで」
「水沼君。あなた、そのうち捕まるわよ……」
「それは、困るっす! 警察官が捕まるとか笑えない!」
「なら、早くこっちに戻って来なさい」
「はーい。あ、俺、水沼信之助よろしく」
「あ……はぁ」
信之助は十汰に自分の名前を教えると、ニコッと笑みを向けて、絢の元へと戻って行った。
そして、絢は信之助のマイペースさにハーッと溜息を出すと、漢助に視線を戻した。
「で、なんで漢助が雪音のお母様と一緒にいるのよ。親戚……じゃないわよね?」
その言葉に、漢助が何故か言いにくそうに答えていた。
「仕事で来てる」
「仕事?」
「俺、今探偵してるから」
「探偵? 嘘でしょ……?」
漢助が探偵になった事を絢は知らなかったようだ。その表情は、信じられないとでも言っているようだった。
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