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それに、埃を溜めない工夫からか、壁と家具は隙間無くくっついていて、部屋の中を見渡せば見渡すほど、綺麗好きなのが分かった。
それと、几帳面な性格もあるのかもしれない。
リモコンはリモコンの指定の場所があり、曲がって乱雑に置かれた物は何一つも無かった。
「あの子、昔から綺麗好きで、除菌シートとか常に常備してるんですよ」
「あ、俺も持ち歩いてますよ。結構役立つんですよね」
そう言って、十汰はジーンズの後ろポケットに手を伸ばしそれを出そうとした。
でも、それをぽろっと落としてしまう。
「あ……」
「なにか見つけました?」
それを取ろうとした十汰だったが、突然手が止まる。
目線の先に見えたコンセントが何故かおかしいと思った。でも、それが何故おかしいのか分からない。
「いえ。何でもないです……あっ、この写真」
そして、ふと顔を上げた時、ベッドの横にあった一枚の写真が目に止まる。
それは、雪音と薫が金のメダルを持って嬉し泣きをしている写真だった。
「え? あっ、それは娘が一番大事にしてる写真です。高校三年の時にインターハイで薫ちゃんとバドミントンのダブルスで優勝した時の写真なんです。二人共良い顔してるでしょ?」
「はい。素敵な写真ですね」
部活とは無縁に生きて来た十汰にとって、汗を滲ませ、必死で掴み取った優勝を喜ぶ二人は眩しく見えた。それに、とても羨ましくも思えた。
「薫ちゃんも……本当に良い子だったのよ……」
「え……?」
その言葉に、十汰はさきえを見た。
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