第3章 開始

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 さきえは二人が写る写真を手に取ると、切なくその言葉の意味を説明し出す。 「薫ちゃん……交通事故にあって、大学四年生の時に亡くなったの……」 「え……?」 「その時の雪音は生きている事さえも辛くなっていて……食欲も薄れてって毎日心配だったわ。でも、そんな時に支えてくれたのが新君で……自分のお姉ちゃんが亡くなったのに、雪音の事を優先に心配してくれたわ。そのお陰で雪音は何とか立ち直ったの」 「そんな事が……」  あったなんて……。そう思った。  まさか、薫も亡くなっていたとは思ってもいなかった。十汰はさきえの話しを聞き、もう、切なくて、悲しくて、苦しかった。 「交通事故は、未成年による飲酒運転だったの。信号無視で、横断歩道を渡ろうとしていた薫ちゃんにそのままぶつかって来たそうよ……」 「飲酒運転……」 「だからね。あの子か飲酒運転をするなんて考えられないのよ。もし、したとしても……何かしらの事情があったはず。私はそれを知りたいの……」 「葉山さん……」  十汰もその話しを聞き、雪音が何故、事故を起こしたのか知りたくなった。  それに、何故、雪音は死ななくてはならなかったのか、知りたい。いや、知らなくてはならない。
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