第3章 開始

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 でも、それを言う前に漢助はさきえと十汰に釘を刺した。 「大きな声は絶対に出さないで下さい。良いですね」  その言葉に、十汰とさきえはコクッと頷く。 「これは、小型の盗聴器です」 「!」 「と……盗聴器?」  十汰は驚きのあまり、一歩足を引いた。  ふとさきえを見ると、さきえは両手で口元を押さえ、顔色を真っ青にしていたのだった。  漢助はそれを二人に見せると、そっと棚を元に戻し、盗聴器から離れた。  そして、十汰とさきえの背を押し、その部屋から出て廊下へと出る。 「ここまでの範囲が聞こえてるかは分かりませんが、声は落として話して下さい」  その言葉に、ハッと我に返ったさきえ。  そして、真っ青になった顔で漢助に聞く。 「だ…伊達坂さんっ。と、盗聴器って何で……」 「か、漢助っ。盗聴器って、うっ嘘だろっ」  生まれて初めて盗聴器なんて見た十汰は、その恐ろしさに声が裏返った。  まさか、部屋に盗聴器があったなんて、想像もしていなかった。  でも、その盗聴器を見て、十汰はすぐに寝室で見た違和感のあるコンセントを思い出した。 「か、漢助っ……こっち来て」  そう言って、十汰は漢助の腕を掴み寝室へと連れて行った。 「こ、ここ見て……」  そして、コンセントを指差しそう小声で言う。  すると、漢助は一瞬驚いた顔をして、盛大な溜息を溢した。  その反応を見て、やっぱりかと、十汰は身震いした。
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