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でも、それを言う前に漢助はさきえと十汰に釘を刺した。
「大きな声は絶対に出さないで下さい。良いですね」
その言葉に、十汰とさきえはコクッと頷く。
「これは、小型の盗聴器です」
「!」
「と……盗聴器?」
十汰は驚きのあまり、一歩足を引いた。
ふとさきえを見ると、さきえは両手で口元を押さえ、顔色を真っ青にしていたのだった。
漢助はそれを二人に見せると、そっと棚を元に戻し、盗聴器から離れた。
そして、十汰とさきえの背を押し、その部屋から出て廊下へと出る。
「ここまでの範囲が聞こえてるかは分かりませんが、声は落として話して下さい」
その言葉に、ハッと我に返ったさきえ。
そして、真っ青になった顔で漢助に聞く。
「だ…伊達坂さんっ。と、盗聴器って何で……」
「か、漢助っ。盗聴器って、うっ嘘だろっ」
生まれて初めて盗聴器なんて見た十汰は、その恐ろしさに声が裏返った。
まさか、部屋に盗聴器があったなんて、想像もしていなかった。
でも、その盗聴器を見て、十汰はすぐに寝室で見た違和感のあるコンセントを思い出した。
「か、漢助っ……こっち来て」
そう言って、十汰は漢助の腕を掴み寝室へと連れて行った。
「こ、ここ見て……」
そして、コンセントを指差しそう小声で言う。
すると、漢助は一瞬驚いた顔をして、盛大な溜息を溢した。
その反応を見て、やっぱりかと、十汰は身震いした。
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