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何故、十汰がそこに盗聴器があるのかを気付けたか。それは、見た時にコンセントに小さく書かれていた社名が反対だったのだ。
つまりは、ここに盗聴器を着けた人間が、慌てていたのか、逆さまに嵌めて元に戻したと言う事だった。
「か…漢助……」
十汰はその恐ろしさの余り、ぎゅっと強く漢助の腕を掴んだ。
そんな十汰を落ち着かさる為か、漢助が優しく十汰の頭を撫でてくれた。
「この依頼、やっぱり何かあるな……」
「やっぱりって……?」
漢助が訝しい顔になる。
その顔を、十汰は上目遣いで見詰める。
「この依頼には、誰かが関わっている」
「え……?」
「簡単に片付けられるような話しじゃないって事だ」
「じゃぁ、この事故には何かあるって事?」
「あぁ。確実にある」
漢助はそう言い切り、さきえの元に戻った。
そして、さきえに断言する。
「娘さんの真実、俺が暴いてみせます」
その目は真実を暴く事だけを見詰めているようだった。
でも、その目を見詰めれば嫌でも分かる。
俺の彼氏は名探偵、らしいという事を。
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