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第4章 行動
次の日、十汰と漢助はさきえに聞いた人物に会いに行った。
それは、雪音が最後に会っていた男でもあり、さきえの会社でも働いている男だった。
「やっぱり、大っきいね……」
街中の中央に聳え立つビルの中の一つ。それが、さきえが社長を勤める葉山建設株式会社のビルだった。
そのビルは、周りの中で一番新しい物に見えた。
漢助に聞くと、昨年ビルを移転して新しいビルに移って来たらしい。
外観もそうだが、中も洒落ていた。
ふと右を見ると、食堂とは言い堅いカフェやレストランが設置してあり、外に出なくても社員が有意義な時間を過ごせるスペースが備わってあった。それを見て、十汰はすごいと感激した。
今は昼時。そこにはたくさんのスーツ姿の男女が足を運んでいたのだった。
「すごいね。人がたくさんいる……」
一つのフロアに何百人いるのだろうか。
数えてみたいが、数える事ができる人数ではないのですぐに辞めた。
「そりゃ、全国でも指折りの会社だからな。こんな東北地方に本社を構える事が不思議なくらいだ」
「確かに……」
東京とか関東辺りにあってもおかしくはない葉山建設株式会社。けれど、昔から地元密着型として動いてきた先代の意志を受け継いださきえは、この県から離れる事は考えていなかったと、さきえがインタビューに応えた雑誌にそう書いてあった。
それを見て、さきえが自身の会社を大切に想っている事が伝わって来た。
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