第4章 行動

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 耳も良い漢助は、長信との会話を全て聞いていたようだ。  なんて地獄耳。 「じゃ、俺行きますね。そのうち行けたら行きます」 「は、はい。ぜひ来て下さいっ! 待ってます!」  その言葉に、十汰は小さくコクッと頷き、ヒラヒラッと長信に向かって手を振った。  そして、漢助の元に駆け寄るのだった。  でも、ふと何かが引っかかる。  長信の言葉の中に、その引っかかる何かがあった気がした。けれど、答えが出ない。 「ま、いっか」  十汰はそんな事はもういいやと忘れ、漢助の隣に着いた。そして、こっちに向かって来た男に頭を下げる。 「青葉新さんですか?」  男が十汰達の近くに来た瞬間、漢助がその男にそう尋ねた。 「はい。お二人は探偵事務所の方ですよね? 社長から話しは聞いてます」  男は雪音と最後に会っていた男、新で合っていた。高校時の写真でその顔を見てはいたが、その時よりも遙かに大人びていた新は、一瞬違う人間かなと思わせるほどの成長ぶりで、十汰は少しだけ驚いた。  人間、こんなにも成長できるのか。そう思わせるほどの変貌ぶりだ。  もしかしたら自分も---なんて期待もしてしまう。 「近くに個室があるカフェがあるので、そこに移動しても良いですか?」 「あ、はい」  新にそう言われ、十汰達は新の後を付いて行く。  会社から然程離れていない場所に、そのカフェはあった。  レトロ感のあるそこは、知ってる人しか来ないのか、ランチ時間だと言うのにあまり客はいなかった。 「マスター、奥空いてます?」 「空いてるよー。使いな使いな」 「ありがとうございます」  新はここのマスターと顔馴染みのようで、死角になっている奥の部屋を指定していた。
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