第1章 探偵

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「ただいまー……って、漢助いない。珍しいー」  五階に着き、鍵を開けて事務所の中に入ると、今日は依頼があったらしく、珍しく事務所には漢助の姿はなかった。  それを知り、十汰は事務所と繋がったプライベートルームへと向かって行く。  プライベートルームには日常に必要なリビングやキッチン、バスルームも完備されている。ようはそこが十汰と漢助の住居スペースなのだ。  勿論、広めの寝室もあり、そこが二人の愛の住処家でもある。  十汰はリ寝室に着くと、濡れたブレザーを脱ぎ、ハンガーに掛けた。そして、濡れて冷め切った身体をどうにかしたくてバスルームに向かうが、その足が重くて途中で断念した。  雨の日が苦手な十汰にとって、特にこうして一人になった時は心が不安定になる傾向があり、何もできなくなる時があった。
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