第4章 行動

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 それを、新は両手で受け取ってくれた。  そして、その名刺を見て新が十汰に言う。 「もし、何かしら雪音の死因について分かったら……俺にも教えて下さい」  でも、その言葉に十汰は困惑してしまい、すぐに返事は返せなかった。  だって、依頼内容を依頼主であるさきえ以外に話す事は許されないと、まだまだ未熟な十汰でさえそれは分かっていた。 「えっと……」  そんな十汰を見て新は切なく笑い、大人の対応をしてくれたのだった。 「ごめん。今のは忘れて……」 「すみません……」 「いや、俺の方が悪かったよ。そんな事、言えるわけないよね」 「……すみません」  十汰は二度、新に謝った。  本当は、新に〝分かりました。良いですよ〟と言ってあげたかった。  でも、言えない。それは、言ってはいけない。  十汰は、まだここで休んで行くと言う新を一人部屋に置き、無言で一礼すると漢助の後を追ったのだった。 「何か言われたか?」  出入口でガムを噛みながら十汰を待つ漢助がそう聞いてくる。  その顔は、十汰が新に何を言われたのか分かっているようだ。 「真相が分かったら教えて欲しいって言われた……」 「そうか……」 「でも、俺……その返答に困って……何も返せなかった。そんな俺を気遣って、青葉さん……今のは忘れてくれって……」  悲しそうな新の表情。  それに、あの涙。  十汰は心が痛くなる。もどかしいのだ。新の気持ちを考えると……。 「そうか……そのお前の選択は正しいよ」 「漢助……」 「この依頼。雪音さんの死因には誰かが関わっている……。それが誰なのかまだ分からないが……それが分かったとして、青葉さんに伝えたらどうなるか……想像つくよな」 「うん……俺もそれを考えた……。だから良いよって言えなかった……。だって、青葉さん雪音さんをまだ愛してる。それに……自分を責めてる……」  新は雪音が亡くなった事を自分のせいだと言っていた。
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