第4章 行動

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 自分があんな事を言わなければ、こんな事にはならなかった。  そう話していた。 「復讐……なんて終わり方は絶対にあってはならない事だ。その手助けをする為に俺達が真相を暴くわけじゃない。ただ、真実を知りたいと俺達を頼って来た人間にだけ……それを伝えるんだ」  漢助の真面目な表情。  そんな表情を、久しぶりに見た気がする。 「うん……分かってるよ」  十汰はそう言って頷き、心の中でその漢助の言葉を刻んだ。  探偵にとって、一番恐ろしいと思っている事。  それは、復讐。  そして、自分達が調べた事が、次の事件を生む事を漢助が一番嫌っている。  だから、こういった人の死が関係した依頼を漢助は避けていた。  いつも受けているのは浮気調査や人探し。そして、十汰だけは知らない誠から仲介された難しい依頼。  その依頼は、政治界や警視庁などを相手にしている物だと冗談めいたように誠から聞いた事がある。  でも、それが冗談なのか本当なのか分からない。  漢助は教えてはくれないし、誠も本当の事は教えないと思う。  でも、その依頼が難しい事ってだけは十汰にも分かっている事だった。  だって、誠から来た依頼を受けた日は、漢助はなかなか帰っては来ない。帰って来たとしても、顔や身体に傷を付けて来る事が多い。  だからなのか、報酬も大きいようだ。  昔、チラッとだけ漢助が誠から依頼料を受け取っているのを見た事があった。その時、受け取っていた封筒には一万円札が三束も詰まっていて、それを見た十汰は驚きのあまり口を押さえた。  そして、その時から十汰は漢助がどんな仕事をしているのか知りたくなった。
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