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そして、そんな事はないと告げた。
かすみ草は十汰も好きな花だ。前に花言葉を検索した時に、とても心に響いたのだ。
「かすみ草の花言葉って、清らかな心、親切……幸福って意味ですよね?」
「え……?」
「あれ? 違いました?」
「いえ、合ってますよ。よく知ってますね」
「前にちょっと調べた事があって。西洋では、everlasting iove……永遠の愛、なんて言葉があるんですよね?」
その言葉を見て、かすみ草を更に好きになった。
だって、漢助に初めて貰った花がかすみ草だった。
その理由が、その意味の何を示しているかは分からないけれど、でも、その花に意味は無くてもとても嬉しかった。
「十汰」
「漢助」
漢助がコンビニから戻って来て、ゆっくりとこっちに来てくれた。
手に持つ袋の中には、お茶のラベルが貼ってあるペットボトルが二つあり、十汰の分も買って来てくれたようだ。
「そちらは?」
「あ、ほら。昨日、葉山さんの会社でお花の入れ替えしてたタオリフラワーショップの従業員さん」
「あぁ……昨日見掛けたな」
「うん。たまたま見てたらそのお花屋さんだったんだ」
「そうか……。あの、他織さん」
十汰が長信について話すと、漢助が突然長信に話し掛けた。そして、胸元からスッと雪音の写真を取り出し見せた。
「こちらの女性、知りませんか?」
「え……? あ、葉山さんの娘さんですよね? 受付嬢の」
「はい、そうです」
「確か、お亡くなりになったとか」
長信は漢助の手から写真を受け取り、雪音の写真を見て悲しそうな表情をした。
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