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漢助はスタスタと会社へと向かう。その横を十汰は無言で付いて行った。
そして、会社に着くと、受付カウンターにいた咲子に話し掛ける。
「こんにちは」
「こんにちは……」
警戒心を抱かれないよう、十汰は慎重に咲子に話し掛けた。
その横には漢助が無言で立っている。
「昨日の方達ですよね?」
「あ、そうです」
咲子は十汰達の顔を覚えていたようだ。まぁ、昨日、今日だから覚えている事が不思議とは言えないが。
「今日も青葉に御用でしょうか?」
「いえ、今日はあなたにお話しを聞きたくて……」
「私?」
「は、はい……」
十汰はドキドキしながら咲子にそう告げた。
咲子は最初どうしようか迷っていたが、十汰が怪しい人間とは見えなかったようで、分かったと言ってくれた。
「終わり次第でいいですか?」
その言葉に頭を縦に振る。
咲子との待ち合わせは仕事が終わった後に近くのBARでと言う話しになった。
それまで十汰と漢助は事務所に戻り、少しだけ寛いだ後、また外に出て待ち合わせのBARへと向かう。
「こっちです」
「え? あっ、はい」
先にBARに着いていたのは咲子だった。
咲子はピンク色のワンピースを着て、赤色の派手目なルージュを付けていた。
仕事の雰囲気とは違う咲子を見て、十汰は最初それが一目見て咲子だと分からなかった。
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