第4章 行動

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 けれど、恋人が狙われているのは居心地が悪い。  でも、当の本人はそんな咲子の態度に慣れているようで、舞い上がる事も、格好つける事もしなかった。  これが大人かと、十汰は一人関心するしかなかった。 「で、私を誘って来た理由ってなんですか? 漢助さんは何をしてる人?」  今更! そう思った十汰だったが、それをグッと堪え笑みを作る。  ここでそんな事を言ったら、咲子のご機嫌を損ねる可能性もある。それだけは避けたい。  それに、おまけのようにいる十汰は大人しく二人の会話を聞いているしかない。あと、目の前にあるカシスソーダをチビチビと飲んでいる事だけ。 「私達は探偵をしている。君が葉山雪音さんと仲が良かったと聞いて、君に何個か質問をしたくて声を掛けた」 「探偵! すっごーい! 私、探偵さん初めて見たー! うんうん。漢助さん探偵っぽい」  話し、ちゃんと聞いてた? そう、言いたくなるほど、咲子は漢助が探偵である事しか反応を示さなかった。 「君と雪音さんとの仲はどうだったんだ?」  そんな咲子を無視し、漢助が話しを続ける。そんな漢助に、咲子は焦らしながら話してくれた。 「えっとねー。仲は良かったと思うよ。先輩後輩だったし、雪音先輩、後輩の面倒見も良かったから、私もたくさんお世話になったんだ……。だから、亡くなったって知った時は本当……ビックリした……」  でも、雪音の話しになった途端。その表情は変わり、悲しみに満ちた顔に変わった。  その表情を見て、咲子と雪音は仲が良かったのだと確信を得た。
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