第4章 行動

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 雪音は本当に性格が良い女性だったようだ。社長の娘だからと言って態度が大きくなるわけではなく、仕事をサボるわけでもない。  ちゃんと一社員として働き、後輩の育成や周りのサポートも熟す、心優しい女性だったと咲子は言う。 「時々二人で飲んだりもしたんだよ。ここにも、何回か来た事があって……あっ」 「ど、どうしました!?」  当然、咲子が何かを思い出したような声を上げた。その声に、ずっと黙っていた十汰が声を掛ける。 「あ、なんでもなーい」 「?」  咲子はチラッと十汰を見ると、クスクスッと笑い漢助に視線を戻す。 「ねぇねぇ、漢助さんって独身?」 「……そうだが」 「ならさ、二軒目行かない?」  咲子は大きな胸を強調するようにテーブルに両肘を付き、小首を傾げ漢助にそう言った。  それは見るからに誘っている仕草だった。 「良い感じのBARがすぐそこにあるんだけど、カップル向きで一回も行った事ないんだ。そこに行けば何か思い出すかも」  なんでそんなBARに行ったら思い出すんだよッ! 十汰の心は天候が荒れた海のようにザパーンッと波打った。そろそろ、我慢の限界だ。 「あのッ!」 「……そこのバーテンは優秀か?」 「うん! すごくお酒の種類もあって、自分好みに作ってくれるよ!」 「そうか……」 「漢助……?」  まさか。そう思った。 「なら、行こう」 「漢助ッ!?」  まさかの承諾。  嘘だろっと十汰は声を出してしまう。
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