第4章 行動

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 まさか、本当にそんな誘いに乗るなんて。  十汰は信じられないと言う目で漢助を見詰めた。 「じゃ、早く行こっか」 「お、俺も行……」 「ごめんねー。そこ、カップルしか入れないの。三人で行くと中に通して貰えないんだ」 「えっ! そ、そんな……」  場所、あるのかよッ。  なんて店だ。十汰は自分の知らない世界に動揺を隠せない。 「じゃ、お留守番よろしく」 「漢助ぇ……」  そう言って、咲子に腕を引かれながら立ち上がった漢助は、ポンっと優しく十汰の頭を叩く。その手を、十汰はバシッと叩いて払い除け、睨め付ける。  恋人が隣にいるのに、女の誘いに簡単に乗るなんて。これを浮気と言わず、何と言うのだろうか。 「すぐに帰るよ」  咲子に聞こえないように、漢助が小声で十汰にそう言った。  その言葉に、ふんっと言ってそっぽを向いた十汰は、すぐさま、ウエーターに勢い良く手を上げてカシスソーダを頼んだ。 「お前、飲み過ぎるなよ」 「別にいいだろっ。これ飲んだら帰るもんっ!」 「じゃ、会計済ませとくから、それ飲んだらすぐに家に戻ってろ。寄り道するなよ」 「……」 「返事しろ」 「……」 「ちょっと、何コソコソ話してるのー? 漢助さん、早く行こうっ」  漢助の腕を掴んでいた咲子は、漢助がコソコソと十汰と話している事が気に食わなくなったのか、掴んでいた漢助の腕を強引に自身に引っ張り、先を急いだ。  それに引っ張られるように、漢助は咲子と腕を組んだまま店を出て言った。 「浮気助……」  漢助ならぬ、浮気助。  アイツは今日から浮気助探偵と命名してやる。そう内心で言いながら、十汰は運ばれて来た二杯目のカシスソーダを一気に飲んだ。
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