第4章 行動

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 それから数分後、人の気配がした。  漢助かな。そう思ったが、睡魔に負けてしまった十汰は目を開ける事はできなかった。 ---昔と変わってないね……。  耳元でそう囁かれた気がした。  でも、その声は何だか漢助とは違うように思える。  夢だからなのだろうか。それとも、睡魔が強過ぎて感覚がおかしくなっているからだろうか。  それに、何故か腹部辺りにも違和感を覚える。  何故だろう。 ---可愛いね……。  けれど、その言葉を聞き、十汰はあの出来事を思い出す。  あの、トイレに連れ込んだ男の事を……。 「十汰!」  十汰はギュッと身体を硬直させていた。目だって強く瞑って、息も止めた。すると、近くにあった人の気配がスッと消えて、次に十汰がずっと待っていた男の声が聞こえて来た。 「か…んすけ……?」  これは夢? さっきのも夢?  まだ思考回路が定まっていない十汰は、ぼうっとしたまま、目の前で心配した顔を向けている漢助を見詰めた。 「大丈夫か!?」 「え……? なんで……?」  そんな怖い顔をしているのだろうか。そう思って自身の下半身を見詰めた。 「! な、なにこれ……」  キッチリと閉めていたはずのジーンズのファスナーが全開で、シャツが腹部まで撒かれていた。  寝相が悪いからなんて思えない。それは異様な光景だった。  誰かにされた。そう言った方が説得がある。  いや、でも、そんな事あるはずない。
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