第4章 行動

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 まさか、そんな。  十汰はどんどん怖くなって来て、自身の身体をギュッと抱いた。 「鍵開けっ放しだったぞ! なんで閉めなかった!」 「ご…ごめんなさいっ」 「たくっ……なんでお前は自分にそう疎いんだ」 「ごめん……」  漢助はそんな十汰に憤りの言葉を言い放つ。そして、自身の頭を右手でガシガシッと掻くと、盛大な溜息を吐き十汰の身体を抱き締める。 「悪い、お前が悪いみたいな言い方した……。お前は悪くないのに……」 「かんすけ……っ」  十汰はふるふる震える身体を動かし、漢助の身体を抱き締めた。  でも、その時。背中に挟まっていた何かが、ヒラヒラッとフローリングに落ちる。 「!」 「十汰?」  その落ちた写真を見て、十汰は表情を強張らせ、顔色を真っ青に染めた。 「な…んでこんな……」  その一枚の写真に、十汰は見覚えがあった。だってそれは、五年前の自分だった。  夏服の制服を着た、若かりし時の自分。  実家の塀が背景に写っていて、カメラなどに気付いてはいない隠し撮りされたそれ。 「なんだ……これ……」  それを拾った漢助が、驚きと憤りを醸し出す。 「なんで……あの時の写真が……」  十汰は写真の左下に書かれた日付に、更に恐怖が増す。だって、その日は……。 「お…俺……どっか行く」 「十汰?」  ガラガラの男の声。  般若のお面から臭うアルコール。  それに混じり、煙草の臭いがふわっと香る。  あの時された行為や状況が、また、鮮明に込み上げる。  恐怖でパニックに陥った十汰は、漢助から離れ、逃げるようにここから離れようと玄関へと向かった。
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