第5章 真実

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 さきえは早く真実が聞きたくて、その日の夕方に顔を出した。  その表情は複雑そうで、十汰はさきえを事務所のソファーに座らせると、お茶と、近くの老舗で買ったずんだ餅を前に置いた。 「これ、この間テレビでやってたやつなんですけど、葉山さん食べて下さい」 「え……? あら、いいの?」  さきえがずんだ餅を好きだと、この間会った時に言っていたのを覚えていた十汰は、午前中にそれを買っておいた。  勿論。漢助には下のコンビニで買ったチョコミントアイス。 「お邪魔します……」 「え……?」  漢助が何処かに行っていたと思ったら、漢助の後ろから絢が顔を出した。  何故、ここに絢を連れて来るのか。十汰は一人、混乱した。 「好きな所座れ」 「もー。なんなのよ急に連絡してきてー。さっさと終わらせてよね」  絢はスーツ姿ではなく私服だった。それを見ると、今日は休みだったようで、何処かへと行くつもりだったようだ。  けれど、絢は事務所の中にさきえがいる事に気付き、ハッとなり静かになる。そして、頭を下げてさきえの隣に静かに座った。  事務所の中に大人四人。十汰は漢助が話しをする前に慌ててお茶三つを淹れ、自分用に買っておいたずんだ餅を絢の前にそっと置き、自身も漢助の横にちょこんと座った。
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