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でもまさか、誠の場所にいたなんて。全くそんな気配を感じなかった。
誠の事務所には何度か作りすぎた料理を持って行った事があったはずなのに、誠以外がいるとは一度も思った事はなかった。
土竜と言われるのも分かる気がする……。
「こんな人いたなんて気付かなかったよ」
「まぁ、コイツはこう言う奴だからな。でも、お前の事は気に入ってるみたいだぞ」
「え……? そうなの?」
「あぁ。昨日、不法侵入されただろ? その後、新しい鍵を付けてくれたのがコイツ。いつもは高額な金ふっかけて来るのに、お前の身が危なかったって言ったら無料でしてくれた」
「? なんで?」
「さーな。後で本人に聞いてみな」
「う、うん」
チラッとパソコンに集中している竜平を見ると、その視線に気付いたのか、竜平がこっちを見てバチッと目が合った。
すると、竜平はパッと目を逸らし、最後のキーを押した。
「できた……」
そう言って、竜平の事をずっと無言で見詰めていたさきえと絢にパソコンを見せる。
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