第5章 真実

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 昔は煙草を一日に二箱は吸っていたらしい漢助。でも、十汰と一緒に暮らすようになってからはピタッと煙草を辞めた。その代わりの代用品がミント系の物だった。 「十汰、アイス」 「う、うん」  ガムもそうだが、チョコミントアイスも煙草の代用品だった。  頭が疲れた時に一番食べたがる。十汰は足早に冷凍庫へと向かい、すぐさま漢助の目の前にアイスとスプーンを置いた。  漢助はさっき噛んだばかりのガムを口から出して捨てると、すぐにアイスを食べ始める。そんな漢助に呆れる絢。 「こんな時にアイスなんて……まるで子供ね。緊張感が欠けるわ」  さっきまでカッコいいことを述べていたのに、急に子供みたいにアイスを食べ始める漢助。そんな漢助の姿に、絢の隣でさきえが笑う。 「でも、なんだか分からないけど……こっちが冷静になれるわね。伊達坂さんが冷静過ぎるからかしら……ふふっ。ほんと、おかしな探偵さん」 「それはどーも」  漢助はチョコミントアイスをペロリと平らげ、口の端に付着したチョコをも舌で器用にペロッと拭った。そんな漢助に、さきえが言う。 「そうよね……。復讐なんて雪音は望んでいないわよね。ただ、真実を知って欲しい。そう、娘も思ってると思う。だから、この男に対して復讐は絶対にしません。でも、何かしらの罰は与えられて欲しい……そう思う事は許して頂けますか?」 「まぁ、そう思うだけなら全然……それに」 「それに……?」  漢助は少し間を置きこう言い放つ。 「罰は俺達が与えますよ。……絶対に」  その目は自信に満ち溢れていた。  どんな手段でも、何を駆使しても。そう伝わって来るような、熱き想いが込められていた。
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