第5章 真実

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 やはり、絢は同じ女性から見ても綺麗な女性なのだと突き付けられたからだ。 「男同士も大変だと思うけど、女の子同士だって……」 「え……?」  さきえはそう言って首を横に振り、今のは気にしないで、そう言った。  その言葉に、十汰はコクッと素直に頷き、分かったと告げた。  その言葉の意味は何かしらあるのだと思ったけれど、それに触れてはいけない気がしたのだ。 「じゃ、私はタクシーに乗るわ。また、何か真相が掴めたら連絡してね」  そう言って、さきえはタクシーを止めて中へと乗車した。 「はい。全て、伊達坂漢助に任せて下さい。必ず、証拠を揃えます!」  十汰はそう自信ありげにさきえに言い放った。そんな十汰を、歩道を歩く人達がチラチラと見ているが、十汰はそんなの気にしない。 「ふふっ。よろしくね」  さきえはそう十汰に言うと、タクシーの運転手に行き先を伝える。そして、タクシーはさきえを乗せて、すぐに真っ直ぐに走らせたのだった。  十汰はタクシーが見えなくなるまで見詰め続け、タクシーが信号を左に曲がった所まで見届けると、事務所へと戻る。 「あ……」  エレベーターに乗り、五階に着いた瞬間。エレベーターに乗ろうとした竜平とバッタリと会った。  竜平はパソコンを持ちながら、十汰が出るのを待っているようで、そんな一歩も動かない竜平を見た十汰は、慌ててエレベーターから出た。
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