第一話 夢

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「――ところで、お客様」  傾げられた首。柔らかに弧を描いた唇が、ゆっくりと形を変えていく。 「夢、というものをご存知でしょうか?」  一瞬、何を聞かれているのかわからなかった。  夢、ゆめ……。  頭の中で、少女の言葉をゆっくり、ゆっくりと咀嚼する。 「……えっと、夢って、寝る時に見る、あれのことかな?」 「はい、そうですね。それも夢のうちの一つです」  ということはまだ別の夢があるということか?  考える俺をよそに、少女は手近にある小瓶に片手を伸ばした。白い指先が、撫でるようにコルクを押す。
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