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「――ところで、お客様」
傾げられた首。柔らかに弧を描いた唇が、ゆっくりと形を変えていく。
「夢、というものをご存知でしょうか?」
一瞬、何を聞かれているのかわからなかった。
夢、ゆめ……。
頭の中で、少女の言葉をゆっくり、ゆっくりと咀嚼する。
「……えっと、夢って、寝る時に見る、あれのことかな?」
「はい、そうですね。それも夢のうちの一つです」
ということはまだ別の夢があるということか?
考える俺をよそに、少女は手近にある小瓶に片手を伸ばした。白い指先が、撫でるようにコルクを押す。
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