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「眠る時に見る夢。未来のことを想像し、語る夢。辛いことから逃れるべく作り上げられた夢。それから、死を経てたどり着く夢……」
少女が小瓶を持ち上げた。小瓶の中で、見えない何かがキラリと光る。
「このお店では、そういった多種多様な『夢』を取り扱っております。時に売り、時に買い、ご来店されましたお客様のお心を少しでも楽にしてさしあげるのが私の仕事です」
少女が片手を差し出す。その手の中には、小さな小瓶。
吸い取られるように手を伸ばし、小瓶を受け取る。俺の手の中にスッポリと収まる瓶の中には、何もない。しかし、なぜだろう。
どうしてか、魅入ってしまう。
「さあ、お客様。お答えください」
少女が笑う。わらう。ワラウ。
「お客様の『夢』は、なんですか?」
ピシリと、とてつもなく固い何かに、ヒビが入った音がした。
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