第二話 就寝

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 数十分かけて完成したのは、サラダの盛り合わせととんぺい焼きの二品。とんぺい焼きの中身はキャベツともやしが詰め込まれており、ソースは少なめ。物足りないと文句を言われるのは確実だが、まあ仕方ない。彼が太るのが悪いのだ。健康第一。肉ばかり食べさせるような贅沢なんてさせられない。  なにより私自身、あまり肉が好きではないのだ。食べられるのは食べられるのだが、できることならあまり食べたくはない。味が、こう、苦手なのだ。味が。  できた料理たちを皿に盛り付け、銀のトレーの上に乗せていく。 「リリィー! はーやーくー!」  遠くからマネくんの声がした。もう限界らしい。早すぎる。彼はいい加減、待つということを覚えた方がいいのではなかろうか。これではクロ以下である。  私は苦笑を浮かべながら、棚の中から透明なグラスを2つ取り出し、それらをトレーの上へ。氷を入れ、お茶を注ぎ、マネくんの使用するグラスには細長いストローを突き刺しておく。  これで食事の用意は終了だ。  料理の乗ったトレーと、クロ用のご飯を手に、私はキッチンを後にした。
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