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そんなことを考えていると、ふと足元に何かがぶつかっていることに気がついた。なんだろうかと視線を下へ。
そうすることにより、視認できた俺の足元。そこにあったものを見て、たまらず甲高い悲鳴を上げる。
「うきゃぁああ!? 毛玉ぁあああ!?」
女性顔負けとはこのことだ。
自分でもよくわからない悲鳴と単語を上げ、急いでその場から飛び退いた。同時に、いつの間にか俺の足に体を寄せていた毛玉がサッと後退する。
「わふっ」
可愛らしい鳴き声があがった。
……ん?わふ?
思わず毛玉を凝視。そのまま冷静に観察する。
モフモフとした漆黒の毛。そこから覗く小さな耳と愛らしい顔立ち。少し長めの尻尾をブンブンと振り回すその姿はどこかで、というかかなり見覚えのある生物を俺の頭の中で連想させてくれる。
「……犬?」
恐る恐る、震える指で毛玉を指差しながら問うてみる。
「わふっ!」
毛玉は同意するように元気に鳴いた。マジか。
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