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一旦パソコンのキーボードから離れ、気持ちを落ち着かせるために淹れたコーヒーをすする。
彼女とよくコーヒーを飲んだことを思い出す。
いたたまれなくなってテレビをつけると、映るのは彼女と旅行した先のグルメツアー。
珪人は目をそらし、結局、またパソコンに戻る。
リツイート、リプライが2秒に1つのペースで届いていたが、だんだん失速してきた。
2つ目のツイートを投下するか。
彼女は大切な友だちです。家族と喧嘩したとか、仕事で病んでいたとかの情報はありません。優しい子でした。その子が突然、いなくなりました。何かの事件に巻き込まれていないことを祈ります。
すると、善良なツイッター民からのリプライ。
「免許証や保険証やパスポートや、スマホはありませんか?もし彼女が持っているなら、船や飛行機の搭乗履歴とか、位置情報検索できるかも。友だちのリョウタさんに聞いても仕方ないかもしれませんが。ご家族に聞いてみては?」
珪人のアカウントの名前は「リョウタ」にしている。これは偽名。
珪人はリプライした。
スマホもカード類も、全て家に置いてあるそうです。手ぶらなら、余計事件に巻き込まれてるんじゃないかと不安です……。
「恋人はいないのですか?痴話喧嘩したとか。家出したとか。それならひょっこり出てきそう」
珪人はリプライした。
旦那はいますが、痴話喧嘩の話は聞いていません。旦那は僕の友人なんですが、ツイッターをしていないもので、慣れてる僕が彼女の情報を拡散することにしました。旦那は警察に行ったり、弁護士や探偵をあたっています。
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