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みんな暇なのか。
面白いほどにリプライやリツイートが来る。ほとんどがお気持ちをお察しします、何々は試しましたか?など役に立たないものばかり。
果織、どこにいるんだ。深く息を吐いて、珪人は壁に飾ってある彼女との写真を眺めた。
そうこうしているうちに、1日が終わった。
また明日、続きをしよう。
珪人はダイニングの椅子で、そのまま眠りに落ちた。
翌日。
目撃情報が入った。
フォロワーの多いユーザーにリツイートされ、一気に人の目を集められたのだろう。
自宅から30キロほど先だが、コンビニで廃棄弁当をもらっている果織らしき女性や、漫喫に出入りする果織と同じ服装の女性を見たとの情報だった。中には遠目からの写真付きもある。
中々の有力情報。
果織は現金を持っているのか。
1週間で30キロ移動したのだから、今日はどこにいるかわからない。
何から逃げているというのか……。
午前10時を回り、リプライが増えて来た。
通知をスクロールしていると、ひとつ、無視できない内容のツイートがあった。
「果織の友人です。タイムラインにあなたのツイートが流れてきました。そこで初めて果織の失踪を知り驚いています。あなたは、果織とどういう関係ですか?プロフィールからもフォロワーからも、あなたという人物が特定できません。果織との関係を教えてください」
なかなか鋭い。
珪人のアカウントは、今までプライベートなことは一切載せたことがないし、フォロワーもリア友ではない。珪人と直接接したことのある人は一切いない。
「僕は果織さんと同じ職場の同僚です。入社したときから仲が良くて、今の旦那さんを紹介したのも僕です。結婚式にもいましたよ」
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