父と母が残したモノ

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小鳥の囀ずりが静かに響く森の中に、朝日が差し込む。 木々の間を通った朝日は、地面に斑のある影を作り出している。 「──────んんっ・・」 辺りの木々が風で擦れて葉を鳴らすと、木に寄りかかって眠っていたアリアを起こした。 アリアは、一瞬どこに居るのかわからず戸惑ったが、すぐに思い出した。 『お前には、生きて欲しい!』 炎の赤色の中で、アリアの父と母は大きな柱と棚の下敷きになっていた。 「パパ、ママっ──・・寂しいよぉっ・・」 アリアは、父と母の言葉を思い出すと、胸を不安で一杯にして膝を抱えて俯いてしまう。 だけど、アリアは直ぐに顔を上げた。 『これを頼りに生きてくれっ!』 父が最後に、アリアに託したモノ。 それを思い出すと、ポケットに手を入れてある物を取り出す。 小さな手のひらに乗っていたのは、目的地だと思われる場所を指す地図が書かれたメモと鍵だった。 アリアは、とても心細く怖かったけれど、父と母の最後の願いなんだと、自分に言い聞かせて立ち上がった。 「いつまでも、メソメソなんてしていられやしないわ。」 アリアは、まだほんの12歳の女の子だというのに、なんて逞しいのだろうか。 いいや、アリアは強く在ろうとしているだけ。 証拠に、アリアの大きな瞳には滴が貯まっていて、固く結ばれた口はへの字に曲がっている。 握られた小さな手は、震えていた──・・
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