父と母が残したモノ

4/17
前へ
/19ページ
次へ
アリアの家から、一週間。 道を行く馬車の荷台に潜り込んだり、歩いたりを繰り返して、ようやく町を目で捉える事が出来た。 緑の草原が広がる道が、町へと続いている。 長旅で、疲れていたアリアだったが、一気に足取りが軽くなり走り出す。 「もう少しだっ!」 一体どんな所なのだろうと、村から出た事のないアリアは、好奇心でキラキラの目を輝かせている。 そして、ついにフラワーガーデンに足を踏み入れると、その美しい町に、アリアはキラキラの目を、もっとキラキラにさせて、感動の声を上げた。 「わあ~~~、とてもきれいっ!」 町の名前に相応しい、綺麗な色とりどりの花が、そこかしこに咲いていて、どこの家にも花が植えられていてる。 そして、町の広場には噴水があり水面には花が浮かべられていて、花をモチーフにした石像や建物、お花屋さんに、ポプリ屋さん、お花のお菓子まで売られている。 身も心も、癒されそうな町にアリアは胸を踊らせた。 「こんな素敵な町があっただなんて、知らなかったわ。」 だけど、そう思ったのも束の間。 この町でも、アリアの容姿は珍しいらしく、白い目で見られ始める。 ここに来るまでの間も、すれ違う人々に同じような反応をされてきた。 ついさっきまで、いい気分だったのに・・ アリアは、とても悲しい気持ちになった。 なんで、容姿がみんなと違うだけで、嫌われてしまうの? まだ幼いアリアには、理解出来なかった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加