第3章 大切なふたり。

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「ダイチの事は離婚のキッカケになったけど、夫婦でいるのは限界だった。 離婚した俺がダイチを引き取るには親父に協力してもらうしかなかった。 ダイチを養子にしたいって言ったら、ありがとうって泣いて、弁護士を探してきた。 母は兄の後を追うように心臓を悪くして死んでしまっていて、母はダイチの事をずっと気にかけていたんだ。 親父はこの辺りに持っていた土地も別荘も全部処分して、クリニックを建て直した。 俺が夜勤のないクリニックを継ぐことにして、 親父もダイチを育てるのに協力するって、 お手伝いさんに掃除や料理もダイチのためにしてもらえるって、 十分、ダイチを養育出来るって、弁護士さんにお願いして、 養子に出してもらえるように向こうの家族を説得してもらったんだ。 まあ、条件が整えば向こうはキチンと養育してるって言えないからね。 親権も養育権も譲って貰えた。ちゃんと、俺が育てるって誓ってね。 ダイチに『恭介って呼んで。』って言ったら、『オトーサン』って言った。 アニキの事は『パパ』」って呼んでたみたいだった。 そしてね、僕らは10ヶ月前に親子になった。 出来立てホヤホヤだ。」とにっこりした。
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