第1章 ワケありのふたり。

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浮気相手は西内 椿(にしうち つばき)。 私の5歳上の姉だ。 これで、恋人を取られるのは3回目だ。 (取り上げて、男をすぐに棄てる。) 姉は私の恋人を誘惑するのが趣味みたいなものだ。 「私に誘惑されるようじゃ、すぐにダメになる。」と毎回微笑む姉は 大学の時ミスコンで優勝したり、モデル事務所に何度も声をかけられるような 美人で、スタイルもいい困ったオンナだ。 薬剤メーカーの営業部にいて、大きな病院を回り、 新しい薬の売り込みや治験をお願いしたりするのに椿のような美人は有利だ。 営業成績は優秀。それに美人って事で次々男を変えても許されている。 姉は誘惑される男に問題がある。と言うけれど、 それってどうよ。 今回ばかりは堪忍袋が切れた。 婚約者だって紹介したのに。 指輪だってもらっていたし、結婚式だって決まっていたのに。 仕事だって、会社員の彼にイロイロ落ち着くまで止めて欲しいって言われたから、 年末に辞めたばかりだったのに。 今度も恋人はあっさり椿の誘惑に負けた。 もう、誰にも会いたくない。 婚約を破棄するのは私の心を疲れさせるのに十分すぎた。 家族にも友達にも相談せず、私は札幌の街を出て行く事にした
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