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「はい、こちらを向いて」
カメラマンの言葉に、私は視線をカメラマンの後ろの風景に視線を向ける。
学校の卒業アルバムの為、写真を撮る際カメラのフラッシュが苦手で視線をそらす。
一瞬の眩しさの後、視界が暗くチカチカするのが嫌いだ。
友人達は、数回瞬きを繰り返すだけで良くなるそうだが、私の場合普段通りになるまで時間がかかる。
個人撮影の時は、視線をずらすごまかしが出来ないから撮り直しが多い。
そうなると、何度瞬きをしても、目のチカチカ視界真っ暗で動くの怖いのでその場で立ち止まる。
撮影時間も限られているから、先生に注意され事情を知る友人が引っ張ってくれるまで動けない。
周りに迷惑かけているのも自覚があるため、写真への苦手意識が年々強くなる。
その為完成したアルバムに写る私は、一人で写る時視線ちょっと斜め下のしかめ顔、集団写真の撮影時は端っこ正面より左右どちらかに顔を傾けている。
写り方によっては、完全に横顔になっているのもある。
今回のアルバムも、私が撮られた写真は正面を見たものは少ない。
家族からは不評だが、私は心内、よしっと大満足なのである。
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