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東北自動車道を北上する車窓から、大塚莉子は真っ白な那須連山を見つめていた。望まない旅だったから、楽しくおしゃべりをする気分にはなれなかった。車内には弟の明人、両親、祖母の華子がいたが、やはり皆、口が重かった。
T市の大塚華子の下に義母の民子が亡くなったと連絡があったのは3月10日のことだった。葬儀は火葬場や葬儀場が順番待ちの状態で3月18日になるという。その日が土曜日ということもあり、莉子の父の敦人は家族全員で行こうと言い出した。
敦人にすれば母親を葬儀に連れて行くのは親孝行だったし、購入したばかりの7人乗りワゴンでドライブが出来る絶好の機会でもあった。
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