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「編集者だっていつも本の編集ばかりしているんじゃないんすよ。たまには俺たちの仕事も見てもらわないと」  してやったりという顔を向けられて、いやでも溜息が口から零れていく。 「それはもちろん感謝していますよ」  少しだけ重くなった鞄を睨んで肩を落として前山さんを一瞥すると。 「なら尚更持って帰ってくださいよ。俺からのプレゼントで」  自分の本をもらっても本人としてはあまり嬉しいとは言えないのだけれど。 「粋な計らいでしょ」 「いや特には」  間髪入れずに返答をするも、相変わらず気にしていないような態度で笑っている前山さんにもうかける言葉も見つからず俺はしぶしぶ自身の本を鞄の奥底へとしまい込んだ。 「じゃあもう帰ります」  俺はあと何度この人と会話をして勝ったと思って帰ることができるのだろうか。今のところは十割の確率で俺は頭を抱えながら帰るしかやっていない。  肩を落とす俺の後ろ姿に前山さんはまた来週と明るい声をかけて見送り、エレベーターに乗った俺を確認してその場を離れていった。 「はあ…」  疲れた。鈍い音を立てて一人だけのエレベーターの中で壁に体を預けると更に体に重りがつけられたようだった。     
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