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人づきあいが苦手で友人もいなくて出かけるときはいつも一人だった。それが苦だと感じることもなかったし、寧ろ気持ちが楽だった。そうやって周りから遠ざけるようにして生活をしていた俺にこの仕事は紡いだ言葉に色を付けて表現をしていく。読んだ人がどう感じるかはわからないけれど、誰かの心を動かすことができれば。言葉を口にすることが苦手でもきっと文字なら伝わることもあるから。そう思ってこの仕事に就いたとき、この世界を知らない俺は一日家に居ても怒られないのだとばかり思っていた。
けれども現実は。
「お疲れ様でした」
書き上げた小説を編集するのは編集者の仕事。客観的にものを見て、客観的に評価をする。それがこの人たちの仕事だ。編集だけではなくてそこから営業へ行ったりとか色々あると思うけれど、俺にはできる仕事ではない。
顔を合わせてどこがよかったか。この場面の表現はどこか違う。そんな話をする時はできるだけ会って話がしたい。そう言われたのは俺がこの世界に入り前編集者が担当についたとき初めに言われたことだった。
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