883人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
幸せでどうしよう。
勉強に戻れるかな。いつの間にか手から滑り落ちていたシャープペンを握り直す僕はまだキスの余韻にひたってる。
でも先生はすっきりしたような顔でノートパソコンに向かっていた。
その横顔を見つめながら僕はそう言えばと浮かんだ疑問を口にした。
「せ、先生」
「なんだ?」
「……あ、あのこのまえ学校では触らない……みたいに……言ってたのって」
キス、してよかったのかな。
不安になってると、先生がまじまじと僕を見つめて手を伸ばしてきた。
その手が僕の首に添えられて、それにドキリとしていたら先生が素早く僕にキスした。
「そうだな。でも――たまには、少しだけなら、いいだろ」
ふたりだけのときに、ここで、ならな。
と、先生が初めてみる表情を見せた。
少し照れくさそうな笑みが一瞬だけだけど見えてすぐに先生はノートパソコンに向き直ってしまった。
いまのは見間違いかな。ううん、違う。
僕も先生と同じように勉強を再開したけど、胸の奥がふわふわむずむずして、顔が緩んで全然捗らなかった。
こうしてそばにいれることがいまでも信じられない。
あのとき先生に好きと言い続けて本当に良かったって思える。
先生。
どんなはじまりでもずっと僕は先生のことが大好きです。
心の中で呟きながら、僕も一度くらい先生の不意打ちを狙ってキスしてみたいなって思ったけど実行できるかな?
そのとき先生がどんな表情を見せてくれるのか楽しみだ。
少しづつ、ゆっくりいろんなことを知っていきたい。
ずっと一緒に。
【END】
最初のコメントを投稿しよう!