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「ごめんってばー。そういえば小学生の頃も二人でボール蹴り合ってて、顔にぶつけちゃって孝介泣いちゃったことあったよね。泣かなくなったから強くなったな!」うんうん、と父さんみないな感じで俺の成長を実感しているような素振りだった。俺より身長が十五センチも低いくせに。
「小学生の頃と言えばさー」悠ちゃんが続ける。
「孝介ほんと泣き虫だったよね。覚えてる?五年の時のキャンプ。怖いとか言って俺の布団入り込んできてさー。」
「五年の時のキャンプ?そんなことあったっけ?カレーがやたら美味かったことくらいしか覚えてないなー。」
とぼけてはみたけど、忘れるはずもない。俺が人生において初めて恋に落ちたのがまさにそのキャンプだ。そして、その恋は中学三年生となった今も続いている。俺の初恋は、あの時に始まったんだ。
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