三年生

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三年生

 春です。待ちに待った春がやってまいりました。  ここ何年かは桜がほぼ散っていて、あんまり春って感じがしない始業式が続いていたけど、今年の春は一味ちがう。桜満開。空は雲ひとつなく晴れ渡っていて、ホーホケキョといつもはうるさいウグイスも「春が来たぜ!」と俺に告げているみたいだ。 うーん、これはきっと何かいいことがあるに決まっている。むしろそうであってくれないと困る。 今日は俺にとって勝負の日だ。何かって、そんなのクラス替え発表以外のほかになにかある?俺以外の生徒のみんなも、ここ最近の関心事はこれに尽きる。 前のクラスで中がよかった奴と一緒になれるかなとか、嫌いな奴とは離れているかなとか。 ……好きな奴と一緒のクラスになっているかな、とか……。  とにかく、一年生、二年生とは比べ物にならないくらい、今年のクラス替えは重要なんだ。最後の文化祭とか、最後の体育祭とか、何かと「最後の」というワードが付いて、中学校生活の思い出は三年生ですべてが決まるといっても過言ではない。  でも、それ以上に大事なことがある。それは「修学旅行」の存在だ。     
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