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「俺は坂本裕次郎っていいます。ずっと好きだったんで、付き合ってくれませんか」
そう言って男はにっこり微笑んだ。
白昼堂々好青年殺人事件……ではなく、好青年告白事件。
廊下はパニック寸前。女子は一部不敵笑みを浮かべ、一部半狂乱に陥っている。(男子は意味不明なほんわか笑顔。)
いきなりのかるぅい告白を受け、驚きというよりも呆れた私は、脱力してふにゃけてしまった。
「おっといけない!」と思い直し、体に力を入れ、ピシッと姿勢をたてなおす。
「言っとくけど、私独占欲強いわよ」
「知ってます。ずっと自分だけを好きでいてほしい、自分だけを見ていてほしい、自分の為だけに生きていてほしいんでしょう?」
(ヤッベェ先越された…やっぱ小夜子の言う通りセリフ変えようかな)
「そうですか…知ってんの。じゃ、サヨナラ」
長年のサイクルに従い、相手が引く前にその場を立ち去ろうとしたその時、男は私の腕を掴んだ。
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