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「うすっぺれぇな!!」
早速教室に戻って報告するなり、小夜子は荒んだ顔でそう言い捨てた。
「普通に『薄っぺらいですね』って言いなよ小夜子。てか、何が言いたいの。『軽い男だな!』とかなら分かるけど」
「時々居るのよねぇ~そういうヤツ。何人目?」
「えと、3人目くらい?」
そう、小夜子の言う通り、何回も告白受けてりゃ、こんなことも時々ある。考えてみれば、告白してくるヤツなんて相当の覚悟の元で来てるんだから、そう簡単に引き下がりたくないと思うのも当たり前なんだろうけどね。
「だからそろそろセリフ変えなさいって言ったのよ。そもそも、あんたのセリフはあんたの殺気と共に言われるから効果があるのであって、それ無しで言葉だけなら男みんな『それでもいいです! 付き合って下さい宵子さん!』って言うに決まってるのにソレをアンタときたら先越されてー…(延々)」
「ハイハイ分かった分かった」
「で? どういうヤツなの?相手」
「どうせこの後のお試しおつき合いで脱落するんでしょ、その男」という長文を顔に書きながら、小夜子はほとんどどうでも良さそうに聞いた。
「坂本裕次郎、甘いマスク好青年」
――――――♪べートーヴェン「運命」♪――――――
「NO――――――」
「…小夜子、ゴメン、言っていい?」
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