僕たちに感情などないはずだ

3/7
前へ
/7ページ
次へ
「あちら側にはいつも砂が大量に落ちています」 「あぁ、猫さんの家があるんだろうね」 「初めての時も聞きましたが猫さんとは何ですか」 「君、いつも逃げられてるから知らないのか。ご主人の飼ってる動物だよ。四本足であるく僕より小さな生き物さ」 「4本足なのに動けるんですね」 「当たり前さ。彼らは生き物なんだ」 「生き物とは何ですか」 「決まってるじゃないか、命を持った特別なものだよ」 「命とはなんですか」 「さぁ、僕にもそこまでは分からないけど命がなくなると動けなくなるらしい」 「机さんも命がなくなったんですか」 「さぁね、そんなこと分からないよ。僕は僕だった時から動けないから」 「命を持った特別なもの。私には理解が不可能です」 「君は融通が利かないからね。君と違ってご主人たちはもっと特別さ。ご主人たちには感情があるんだからね」 「感情?」 「僕も詳しくは分からないけど泣いたりできるんだよ。」 「泣く?」 「そう、必要ないのに水の雫をこぼすのさ」 「泣くというものがあるから特別なのですね」 「まぁ、そんな感じじゃないかな」 「なるほど。多少理解できました」 「そう、それはよかった」 「清掃を終了しました。DOCKに帰還します」 「おやすみ、ルンバ」 机さんは私がDOCKに戻るとき必ず「おやすみ」という おやすみとは何だろう いつも聞こうと思うのにDOCKに戻ると私は充電に入るので次の起動まで覚えていられることはなかった
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加